先生の全部、俺で埋めてあげる。
学校に行くと、柾木が早速声をかけてきた。
「お前昨日どこ行ってたんだよ、探したんだけど」
「だから保健室だって」
「保健室いなかったじゃーん」
柾木はあの後心配して、他の友達を連れて俺を見に来てたらしい。
「莉子ちゃんにも伝えたんだけど会えた?」
「は?」
こいつが言ったのか。
だから昨日、先生は保健室に来たんだ。
「なに言ったの?」
「なにって、1人でいる俺を見て不思議がってたから、夕惺なら保健室だって」
「お前なー、いちいち伝えんなよ」
「えーなんで?」
余計なことしたおかげで先生に変なことろを見られた。
その後の先生の反応は自分でも想像できなかったことだけど。
でも柾木のおかげでそのことに気づけたのも事実。
「先生とは会ってないよ」
「そっか」
ふーんと言って席に戻って行く柾木。
チャイムが鳴ってみんなが席についた。