先生の全部、俺で埋めてあげる。
大学は結局先生の通っていた大学にした。
未練タラタラすぎて自分でも笑ってしまうけど。
もしかしたら先生に会えるヒントがあるかもしれないと、その時の俺は単純にそれだけの気持ちで動いていた。
別に他に行きたい大学もなかったし、親も何も言わなかった。
高校を卒業してすぐに俺は一人暮らしを始めた。
親は高3の秋に日本に帰って来ていて。
相変わらず忙しそうな2人だったから、日本にいてもいなくても顔を合わす機会なんてめったになかった。
別に同居のままでもよかったんだけど、俺は早く大人になりたかった。
誰の世話にもなりたくない。
ちゃんと一人で自立して、自分のことは自分でできるようになって。
それで、誰かを支えられる人間になれるように。
先生は今頃、どこで何してるんだろ。
気を抜くとつい考えてしまう。
今でも俺の気持ちの大部分を占めるのが先生で。
どうすれば消えるのかいまだに分からない。