先生の全部、俺で埋めてあげる。
「情緒不安定の女子かよ」
柾木の真面目な雰囲気がイヤで、俺は適当にごまかす。
「あのなー。俺、お前の考えてる事、割と分かってるつもりだよ」
さっきから何なんだよ。
「莉子ちゃんと何があったか知らないけどさ、お前明らかに好きだったじゃん?」
やっぱり柾木には俺の気持ちはバレていて。
あんまり自分の感情を言わない俺の性格も分かっていたんだろう。
だから今まで、そのことに直接触れてこなかったんだと思うけど、今日の柾木は違った。
「今でも引きずってんの?」
その柾木の言葉がダイレクトに俺の心に響く。
「割と」
ここでしらばっくれても何もかもお見通しだと思って、素直に認めると、
「やっと認めた」
って柾木は少し嬉しそうに笑った。