先生の全部、俺で埋めてあげる。

それでもやっぱり




10月14日。


教授からお墓の場所を聞いて、俺はこの場所で先生を待っている。


正直どんな顔で先生に会えばいいか分からないけど。


でもこのまま一生先生に会えないなんて考えられない。




始発の電車でお墓について、用意していた花を添えて手を合わせた。


先生はたぶんこの場所に来る。



だから、

「ちょっとだけ待たせて下さい」

そう言ってお墓の前から離れた。


先生が俺を先に見つけてしまうと、たぶん何も言わずに引き返すと思ったから。


俺は少し遠くで、先生が来るのを待った。


喉が渇いて飲み物でも買ってこようかなと腰を上げた時に、人影を見つけた。



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