先生の全部、俺で埋めてあげる。
先生が立ち上がって顔を上げた時、俺と初めて目が合った。
「なんでここに…?」
俺を見つけた先生は、すごく驚いていた。
それから眉を下げて、あからさまに困った顔をした。
「先生に会いに来ました」
先生に一歩一歩近づくと
「それ以上来ないで」
と俺を制御する。
それでも俺は足を止めなかった。
「なんでいつも私の言うこと聞いてくれないの…?」
って先生は今にも泣きそうで。
「先生だって俺との約束破ったじゃないですか。
お互い様です」
先生の目の前に立つと、あの時の感情が一気に戻ってくる。
手に届きそうで届かない。
あの時のもどかしい気持ちが。