先生の全部、俺で埋めてあげる。



「先生に会ったんですかー!?」


青山さんの声が図書館中に響き渡る。


青山さんは自分の口を押えて回りをきょろきょろと見渡した。




先生に会った次の日、俺は報告もかねて図書館へ行った。


一応協力してもらってたから言わないとと思って直接言ったけど。


LINEにしとけばよかったと後悔する。




「それでそれで?!久しぶりの再会はどうでした?!」


「どうもこうも、俺なんて最初っから眼中に入ってなかったみたいです」


そう言うと青山さんはあからさまに怒った顔になった。


「そんなわけないじゃないですか…!
私ずっと2人を見てたんですよ!?
気がないならどうしてあんな目であなたのこと見たりするんですか…!」


「あんな目?」


青山さんの熱量が半端なくて、呆気にとられる。


「そうです、何かを愛おしむような、愛でるようなあの眼差し!
絶対に好きじゃなきゃあんな顔であなたのこと見てませんって」


先生がそんな目で俺を見ていた…?


とても信じがたい。


青山さんの妄想の話なのかなって思うぐらいに。



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