先生の全部、俺で埋めてあげる。
しばらくその女性に見入っていたことに、ふと気が付いて、慌てて手に持っている本に視線を落とした。
するとガラガラと椅子を引く音が聞こえて、もう一度顔をあげると目の前の女性が席を立つところだった。
帰るのかな。
もう会えないかもしれない。
そう思うと自分も席を立っていて。
そんな俺に気が付いた女性がこっちを見たから、そのままもう一回座った。
あー、何やってんだろう俺。
穴があったら入りたい。