先生の全部、俺で埋めてあげる。
2章
夏の忘れもの
「先生は夏祭り行くの?」
夏祭りが明日に迫った今日の夕方。
いつもの図書館で先生に問う。
「行けたら行きたいんだけどねー」
なんて、先生はあいまいな返事をした。
「里巳くんは?」
「俺はたぶん柾木たちと」
「そう。本当に仲がいいわね」
本当は先生と行きたいけど。
でもそんなこと言えない。
言ったところで、相手にされないのは分かってる。