桝田くんは痛みを知らない
 ――――重い?


「どうして? わたしは――」

「好きでもない相手からのアピールなんて。厄介だろ」


 …………!!


「キメえよな。あんなことして」


 “あんなこと”


「怒ってんだろ。キスしたこと」


 ちがうよ、桝田くん。


「今だって。ほんとは引いてるんじゃねーの?」


 重いとか、気持ちわるいとか、そんなこと思わないし。


 ここに連れてきてくれたのも。

 並んで座っていることも、嬉しい。


 怒っているわけじゃ、ない。


「好きって。その。どんな……?」
< 100 / 300 >

この作品をシェア

pagetop