桝田くんは痛みを知らない
「ちなみに。例の手紙、古都に渡してもらったんですけど」


 それ、言っちゃうの……!?


「古都ちゃんに?」

「イラナイって言われて。古都、カンカンなんですよー」

「ちょっと、えみる。その話はいいよ」

「いやいや。古都が怒るのって珍しくないですか〜? ほんと友達想いな子ですよね」


 少し間をあけたあとマサオミくんが、穏やかに答えた。


「『イラナイ』は、酷いね」


 やっぱりそうだよね、マサオミくん! 


「学年イチのイケメンを悪魔だとかディスる古都みてたら、あたし、なんかもうラブレター受け取ってもらえなかったショック飛んでっちゃって」


 そうだったの!?

 って、そんな話まで、マサオミくんにしないでよ〜!

 
「それ、なんの手紙だったの?」


 ――――?


「やだな、先輩。ラブレターって言ったじゃないですか」

「君なら古都ちゃんに頼まなくても。自分で渡せるんじゃない?」

「なにが言いたいんですか」

「……いや。なんでもない」
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