桝田くんは痛みを知らない
 食堂から教室に戻る途中。

 頭の中は、マサオミくんのことでいっぱいだ。


 カノジョ、いないんだ。

 カノジョいないんだあ……!!


「宗田先輩の前での古都。かわいすぎ〜」

「え?」

「アレはぜったい気づいてると思うなあ」


 気づいてるって。ま、まさか。


「わたしの気持ちに?」

「意識しまくり。誰が見てもバレバレ」


 …………!?


「ウソ!? ほんとに?」

「少なくとも、さっきのは、ただのお隣さんに見せる態度ではないよね」

「迷惑、とか。思われてたり?」

「逆じゃない?」

 ……ギャク?

「かわいい後輩が入学してきたーって感じじゃん?」


 ――――後輩。


「やっぱり。そうなのかな」

「んー?」

「妹、みたいな感じなのかな」
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