桝田くんは痛みを知らない
「おつかれさま」

「寝てただけだ」

「聞いたよー? 占い師やるって」

「……情報共有されんの。はえーよ」

「さすが“王子様”」

「うっせ」


 起きたのに、まだ顔をあげない桝田くん。


「なにを占うの?」

「さあ」

「これから決める感じ?」

「さあ」


 やる気なさすぎるよ、桝田くん。


「女の子たち。かなり楽しみにしてたよ……?」

「そうだな。適当にクジでも引かせて適当に大凶ですとか言っとくわ」


 ぼったくりである。


 ただし、

『桝田くんならボッタクリでもいい!!』って子が殺到するだろう。


「矢沢のやつ。俺のこと、客寄せパンダにしやがって」


 …………!!


「ヤザワくんが、桝田くんを説得したの?」

「説得っつーか。準備とか面倒なこと、一切やらなくていいから。その代わり当日の店番には組ませろって言われて」

「引き受けたんだ!?」

「少しの間なら、って言ったら。まさか占い師させられるとはな」
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