桝田くんは痛みを知らない
「えー……」


 言いたくないよ。


「言わなきゃ襲うぞ」


 …………!?


「くだらないこと、だから」

「オマエの話なんて。9割くだらねえだろ」

「ヒドい!」

「それでも俺が聞きたいっつってんだから。聞かせろ」


 言い方はイジワルなのに。

 ……優しい。


 そういうの、ズルいなあ?


「……クラスの子が、ね」

「おう」

「手相みてもらえるなら、手、握ってもらおー。みたいに。……言ってたの」


 で。

 そうなると。


「女の子の手。桝田くんが触るのは。ちょっと……イヤだなあって、思ったり」


 言い終わってすぐ、こんなの、子供みたいだって思った。

 せっかく当番引き受けたのにね。


「手」

「?」

「貸せ」

「わっ」


 手首を捕まれ

 てのひらを、マジマジと見られる。


 もしや。


「手相占い。できるの……?」
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