桝田くんは痛みを知らない
「どうなのかなー。あたしは宗田先輩じゃないから、先輩の気持ちはわからない……けど」


 けど?


「うちが先輩なら。古都のこと、かわいがりたいって思うだろうなー」

「か、かわい……がり、たい!?」

「頭撫でてあげたい」


 頭を……?


「お手、おかわり、ふせ。ヨシヨシみたいな」

「わたしはペットか」

「宗田先輩はさ。恋愛から離れてるって言いつつ、したくないわけじゃないと思うなー」

「そうなの!?」

「おもしろかったなー。さっきの先輩のカオ」


 さっきの、マサオミくんのカオ?


「なんのこと?」

「ふふ」


 なんだその笑いは。


「先輩も健全な男子高校生だからねー。やっぱり欲しいでしょ、カノジョは」


 もしそうなら、全力で立候補したい。

 先輩のカノジョ総選挙が開催されたら、一生の運を使い果たしてでも当選したい。


「なんていうか。古都の場合。いきなりチュウとかする気には、なんないかもな〜」


 …………なんだって?
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