桝田くんは痛みを知らない
「…………失礼します」


 桝田くんのおでこに、手をあてる。



「あつい」

「だろ」

「熱、あるんじゃない?」

「いや。こんなもん」


 そういうと、桝田くんは、スポーツ飲料水を手に取りキャップをあけて飲んだ。


 水分補給。

 夏場は特に小まめにしとかなきゃ熱中症になるけど、桝田くんは、わたし達の何倍も気をつけてきたんだよね。


「なに」

「え?」


 じっと、見すぎた。


 ゴクゴクって。

 ただスポーツ飲料水のんでるだけなのに、カッコよくて。つい。


「いる?」

「……は?」

「飲みてーのかな、と」


 わたしが? それを?


「だ、大丈夫だよ? 水筒持ってるし!」
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