桝田くんは痛みを知らない
 グフ、と蒸せると


「なにやってんだよ」


 立ち上がった桝田くんに、背中をトントンされた。


「だって。桝田くんが、ヘンなこと言うから」

「コトリが無駄にエロいから悪い」


 また無駄って言われた。

 そしてエロいの意味がわからない。


 なんでわたしが悪いの。

 わたしはヘンタイじゃないからな……!?


「かえろ、桝田くん」

「なあ、古都」

「んー?」

「まだ一緒にいたいって言ったら。どーする?」


 …………え?


 桝田くんが鞄を持つと、

「さて」

 先に、歩き始める。


 一瞬かたまったあと、

「待ってよ……!!」

 うしろから、桝田くんを追いかけた。




「また明日」

 と別れたのは、うちの前。


 送ってもらうの悪いって言ったのに。

 俺がそうしたいからさせろって、強引に、送ってくれたんだ。 
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