桝田くんは痛みを知らない
「ことー」


 部屋の扉がノックされ、お母さんが顔を覗かせる。


「な、なに?」


 お母さんに、桝田くんのこと、いつ話そう。

 ……いや、話すものなの?


 えみるは、カレシとのこと、報告しない派だったよね。

 みんなどうしてるんだろう。


 そもそもに。

 付き合うってどうすればいいんだ!?


 少女漫画でしか予習できていないよ。

 それを超える胸キュンを既に桝田くんからチャージされているというのに。


 この先、心臓もつかな……!?


「なんかあった?」

「へ?」

「表情コロコロかえて。どうしたの」

「え、いや。なんでもない」


 嘘をつくのが下手くそすぎて、すぐにバレる気がしなくもない。


「まあ、いいわ。雅臣くん来たよ」

「そっか。マサオミくんが……」

「おりておいで」


 …………え?
< 137 / 300 >

この作品をシェア

pagetop