桝田くんは痛みを知らない
 お母さんめ。

 マサオミくんに、どこまで話したの。


「みてあげようか」


 ――――!?


「今夜なら。全然時間とれるよ」


 マサオミくんが、わたしの勉強を?


「せっかくそう言ってくれてるんだし。お願いしたら?」

 と、お母さん。


「でも……」


 実は、今日の、帰り道。

 桝田くんから『勉強教えてやる』って言われた。


 まさか参考書選びだけでなく、そんなことまでしてくれるとは思いもしなくて。

 それはそれは驚いていたら、


『とりあえず学園祭の準備がある日はそっち優先させて。一段落ついたら、みてやるよ』


 ってことになった。

 だから、ただでさえ忙しいマサオミくんの手を煩わせることはないし。


 マサオミくんに教わったら。

 ……桝田くんに、悪い気がする。
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