桝田くんは痛みを知らない
 少し前の自分なら、大喜びしていたに違いない。

 そして大好きなマサオミくんの隣で集中できなくて、勉強どころではなくなるオチまで見えていた。


 それがどうだ。


 気持ちが。

 状況が、こんなにも変わってしまった。


「古都の部屋、使ってもらったら?」


 どうしよう。


「余計なお世話ってなら。帰るけど」

「そんなことない……!!」


 マサオミくんの困り顔を見て、思わずそう言わずにはいられなかった。


「じゃあ。行こうか」

「……うん」


 部屋にマサオミくんを入れるの、久しぶりだなあ。


「僕はリビングでもよかったんだけど」

「リビングは、無理だよ。ノブナガがマサオミくんにベタベタだもん」


 かまってくれるから、嬉しいんだろう。
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