桝田くんは痛みを知らない
「ま……マサオミ、くん?」

「ごめんね。あのときは。つい、厳しいこと言っちゃったんだ」

「つい?」

「僕は君を。甘やかしてきたから」


 自覚あったんだね、マサオミくん。


「それが古都ちゃんのためにならないなら。ただ優しくすることに。意味がないと思ってさ」


 優しくしてもらえるのは、嬉しい。

 それでも。

 言わなきゃいけないこと、言ってもらえると、嬉しい。


「えっとね。プレッシャーというか。マサオミくんの言葉が刺激になって、勉強頑張ろう!……って思えたのは事実だよ」

「なら。厳しいこと言ってよかったかな」

「うんうん。っていうか、マサオミくんは、それでも優しいから!」

「ほんと?」

「身近に、鬼みたいな人がいて。口悪いんだよね。いちいちヒドい。もう、慣れちゃったけど」
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