桝田くんは痛みを知らない
 って、なんでわたし。

 マサオミくんに桝田くんの話をしてるんだろう。

 それも勉強中に。


「雑談、よくないよね」

「いいよ。少し休憩しよう」

「……うん」

「その鬼って。友達の手紙を代わりに渡してあげた、王子みたいなやつ?」

「よくわかったね。っていうか。あのときの話、覚えてたんだ」

「覚えていたというよりは。忘れられなかった、の方が。正しいかな」

「……?」

「桝田義久」

 ――――!

「悪魔ってディスったのに。一緒に帰ってた」

「見てた……の?」

「たまたま近くを歩いていたからね」

「声、かけてくれたらよかったのに」

「仲良いんだ?」
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