桝田くんは痛みを知らない
 仲、いいというか。


「……あのね、マサオミくん」

「なに」

「お母さんには、ナイショにしてて欲しいんだけど」


 家族に言うのは、照れくさい。

 だけどマサオミくんになら。


 言えてしまいそうだ。


「わたし。桝田くんと――」

「それ。僕が聞かなきゃならない話?」


 …………え?


「知らないでおくって選択肢。選んでいいかな」


 ……マサオミくん?


「なんで……」

「その方が。都合いいこともあるかなって」


 都合いいことって、なに?


「そうだ、古都ちゃん」


 マサオミくんが、ポケットからなにかを取り出す。


「よかったら。一緒に行かない?」
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