桝田くんは痛みを知らない
 それは、ある場所のチケットだった。


「これも。父が会社でもらってきたんだって」

「遊園地……!」


 行きたい、けど。


『2人でカラオケなら。れっきとしたデートっしょ』


 って、えみる言ってた。


 マサオミくんと遊園地に行くのは、デートに、なる。


「カノジョさんと。行かないの……?」

「彼女?」


 マサオミくんが、目を丸くさせる。


「ほら。カラオケで会った」

「ああ。あの子は、そういうんじゃないよ」


 カノジョじゃ、なかったんだ。


「マサオミくんと行きたい子。いっぱいいそう」

「いたとしても。僕は古都ちゃんを誘うよ」


 …………!?


「カラオケは、向こうから誘われたんだ。あの子の親が僕の父とちょっとした知り合いで、付き合いでね。でも。遊園地は僕が古都ちゃんと行きたいと思うから誘うんだよ?」
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