桝田くんは痛みを知らない
 思い描いていた彼氏とのデートって雰囲気ではないが――


「かわいいじゃねーか」

「あ、ノブナガ! 桝田くんのお尻かがないの!」

「おいノブナガ。俺のニオイよく覚えておけよ? 眼鏡の胡散臭い腹黒男じゃなくて。この俺が、古都のカレシだからな」

「な、なに言ってるの!?」

「事実だろ」

「マサオミくんは腹黒じゃないし」

「わかってねーな? ああいう非の打ち所のない爽やかイケメンに限って。キレるとヤベぇんだよ」

「ほんとかな〜?」

「コイツ。俺にめちゃくちゃシッポ振ってきやがんな」

「桝田くんのこと好きになったみたい」

「そーかそーか。いい子だ。俺がとびきり美味いビーフジャーキーでも買ってやろうか?」


 …………悪くないかな。

 こんなデートも。
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