桝田くんは痛みを知らない
 煽りスキル、ハンパないな。

 ぶん殴ってやりたい。


 だがしかし、落ち着くのだ、和泉古都。

 保健室でケガ人を出してどうする。


 いや、どこであれど暴力反対。


「わたしが書いたわけじゃないから」


 えみるには申し訳ないが、こんな性格悪い男を好きだなんて心外だ。


「じゃあ誰が書いたんだよ。第2の人格でも発動した?」

「なにその中二病みたいなの。わたしはジキルとハイドか」

「へえ。ジキルとハイド、知ってるんだな」


 退屈そうに携帯をイジる、桝田くん。

 人と話すときは携帯触るな。

 というか寝てないじゃん。


「それくらい知ってるよ……って、そんなハナシじゃなくて。あれは、友達に頼まれたものだから」
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