桝田くんは痛みを知らない
「なあ。やっぱり俺の家にノブナガ連れてこれば?」


 桝田くんは、あまり外に長時間いられない。


「うちのプール。ノブナガ喜ぶんじゃね」

「家にプールあるの!?」


 外国みたいだな。


「じいちゃんが俺に甘くて。ガキの頃に欲しいって言ったら、庭に建てた。年中入れるやつ」


 豪邸……なのでは?


「メッセでも言ったけど。お母さんが。遊びに行くこと、許してくれるかどうか」


 男の子の家に行くことなんて、ないから。

 ただし、マサオミくんのところを除く。


「なら。まずは俺が古都の家に行くか」

「へ?」

「手土産なら用意してきた」


 紙袋をかかげる桝田くん。

 用意周到すぎる。


「古都の親に挨拶して。お願いして。断られたら、帰るわ」

「帰るの……?」

「とりあえずは。ノブナガに俺の香り覚えさせたし」


 それだけでデート終わり!?
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