桝田くんは痛みを知らない
 すると、まるでわたしに興味なさそうだった桝田くんが――


「友達に?」


 鋭い目で、わたしを捉えた。


 ――――ドクン


 思わず心臓が大きく波打ったのは、無駄にその顔が整っているせいで。


 けっして、この性悪男に、ときめいたわけじゃない。


「……どーりで」

「え?」

「オマエ、全然俺のこと好きそうじゃないもんな」

「わかってるなら、おかしな言いがかりつけないでよ」

「さっき言ってたよな。キスしたいと思わせたい相手がいるようなこと」


 そこまで聞かれてたの……!?

 サイアク。


「それ、誰?」

「あなたに、関係ない」

「俺にそんな態度とるクセに。そいつの前では、なんもできないんだな」


 …………!!


「いや、逆か。なにもされないってことは。つまり、オマエはその男にどうとも思われてないってことか」
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