桝田くんは痛みを知らない
「コトリちゃんって言うんだ。かわいーね?」


 ニコッと微笑みかけてくる、その姿。

 ……異国の王子みたい。


「いや、本当の名前は古都っていうんですけど。桝田くんが勝手に『り』を付け足して」

「そうなんだ。ボクはノア」

「ノアさん」

「2人は。恋人なんだよね?」

「……っ!」

「ヨシヒサのやつ。なんにも話してくれないから。人が、来るとしか」

「そうなんですね」

「でも。部屋にあるアレを見て。来るのは女の子なんだろうな〜ってわかってたけど」

「……あれって。なんです?」

「それはあとでわかると思うよ」


 気になる。


「ほんとに泊まってかないの? ボク、夕方には帰るから。夜はジャマモノいなくなるよ?」


 自分のこの邪魔者とか言わないでください。
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