桝田くんは痛みを知らない
 そこは、フローリングの部屋だった。

 壁には室温や湿度の表示されるデジタル時計が掛けてあって、白と黒を基調としたシンプルな家具が並んでいる。


 モノは、少ない。

 自室に5人くらいかけられるソファがあるのってすごいな。

 うちのリビングより広いぞ。


「なにしてんの。入れよ」

「し、失礼します!」


 わたしが中に入ると、うしろから桝田くんが入ってきて扉を閉める。


 わあわあ。ここが、桝田くんの自室。


「ここで勉強したり本読んだり、毎日過ごしてるんだね」

「なんもねーけどな」

「あんまり部屋にモノ置くのイヤ、とか?」

「筋トレするためのマシーンはトレーニングルームにあるし。これといって部屋に置きたいモノがねえな。あと。無駄になにか置いて躓いたりカラダぶつけねーようにって配慮されてるのもある」
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