桝田くんは痛みを知らない
「ごちそうさまでした!」


 ノアさんに手作りの夕食を振る舞ってもらったあと。


 そろそろ帰るのかなって考えた途端、すごく名残惜しくなってきた。


 また、

 月曜日になれば学校で会えるのにね。


「来い」

「え?」


 手を繋がれ向かったのは、桝田くんの部屋。


「そんな寂しそうにすんな。まだ、終わってない」


 …………!!


 顔色を読まれてしまっていたのか。


「オマエの家に連絡入れておいた。もう少し、一緒にいられる」

「……いつの間に」

「とはいえ。タイムリミットは1時間くれえだな」

「うん」

「やっと外、暗くなったな」


 そう言われて窓の外に目を向けると、たしかに夜になっていて。

 こんな時間に桝田くんと過ごせていることが、とても不思議だ。


「ボーッとしてんな。時間ねえのに。始めんぞ」

「え?」

「とりあえず――それ、脱げ」
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