桝田くんは痛みを知らない
#13 夜
#13



 …………脱げ?


「準備は、できてたんだ。だけど。さすがに、明るいうちから始めるのも。雰囲気出ねえし」


 なにを、始めるの?

 まさか。


 ドキドキの、続きを…………!?



「というか。キレイでもないだろうし」


 へ?


「これ着ろ」


 桝田くんがクローゼットから出したのは――


「これっ……」


 女物の、浴衣だった。


「買ってくれたの?」

「おう」


 青空に、小鳥が飛んでいるようなデザインのもの。


「オマエのイメージだと、ピンクだったんだけど。小鳥が。なんとなくオマエっぽくて」

「かわいい!」

「そうかよ」

「着せてくれるの?」

「は? なんで俺が……」

「わたし、浴衣の着方わからないよ」

「調べろよ。スマホあんだろ」

「あ、そっか。でも。見ながらできるかな」


 着替え終わるまでに帰る時間がやってきてしまうのでは……


「ったく。ほんとコトリは。グズだな」
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