桝田くんは痛みを知らない
「ぜってえ見るな」

「見るもん」

「処分してやる」

「残念。アルバムが入ってる金庫の鍵はボクの家にあるよ〜」

「あ、一宮さん。後片付け手伝います」

「いえいえ。遅くなりますから先にあなたを送っていきますよ」


 桝田くんのと初デートは


「楽しかったね、桝田くんの家」

「おい」

「んー?」

「いい加減、それやめろよ」

「…………それ?」

「桝田くん。っての」

「呼び方? えっと。じゃあなんて呼ぼうか」

「名前でいい」

「わかった、ヨシヒサくん」

「っ」

「どうかした?」

「いや」

「今日は本当にありがとう、ヨシヒサくん」

「…………おう」


 こうしてヨシヒサくんとの初デートは、一生忘れられない、かけがえのない思い出になったんだ。
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