桝田くんは痛みを知らない
 アイスを食べ終わったとき、


「古都ちゃん。あれ乗ろうか」


 指さされたのは、観覧車だった。


「うん! そろそろ、えみる達、戻ってくるかな」

「2人を乗せてあげない?」


 えみると先輩を?


「聞けば。2人は、なにげにこれが初デートらしいんだよね」

「そうなの?」

「五十嵐、部活忙しいだろ。テスト期間の放課後は、予備校通いしてたし」


 そうだったんだ。


「2人が戻ってきたら。さりげなく、先に乗せて。僕らはそのうしろのゴンドラに乗るって伝えてさ」


 ああ、なるほど。

 そこでわたし達は観覧車から離れるんだね。


「わかった!」


 さすが、マサオミくん。

 粋なはからいというか。
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