桝田くんは痛みを知らない
「どうしたの、古都。乗らないの?……先輩も」


 予定通り、そのあとは

 五十嵐先輩とえみるを2人でゴンドラに乗せることに成功した。


「うまくいったね、マサオミくん――」

「それじゃあ。僕らはこっちに」


 …………え?


 手を取られ、ゴンドラに乗り込む。


「乗るの?」

「そのつもりだったけど。高いとこ、怖くても。観覧車は好きだったよね?」


 好き、だけど。

 まさかマサオミくんと、2人で乗ると思わなかった。


「懐かしいな。昔、乗ったよね」

「……うん」


 昔と違うのは、


「今日は天気いいから。遠くまで見えるよきっと」


 お互い、オトナに近づいているということ。
< 236 / 300 >

この作品をシェア

pagetop