桝田くんは痛みを知らない
 ――意識、する必要ない。


「このあとは。4人で遊べるの探そ」

「うん」


 だけど。


 さすがに観覧車に2人で乗ると。

 雰囲気に、呑まれるというか。


 目の前には、ずっと、憧れてきたお兄さん。

 初恋の相手。


 なんていうか。

 ドキドキというよりは、ドギマギしちゃう、シチュエーション。


 ……いつか、桝田くんとも乗りたいな。

 なんて。

 桝田くんのこと、また、考えちゃってる。


「今日ここに来ること。桝田義久は知ってるの?」

「えっ……。うん」


 いきなり桝田くんのこと聞かれたものだから

 ドクン、って。

 胸が、大きく鼓動した。


「メンバーに僕がいること。言った?」


 …………?


「うん。マサオミくんがチケット用意してくれたって話したよ」


 どうして、そんなこと聞くんだろう。


「へえ」

「声、かけてみたんだけど。断られちゃった」

「仕方ないよ」


 …………?


「彼は。この時期に。こんな場所に来れるカラダじゃない」
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