桝田くんは痛みを知らない
 ――――!!


「マサオミくん。……知ってるの?」


 桝田くんの病気のこと。


「そりゃあ。そういう生徒がいるってこと、僕が把握しておかなきゃ。もし、なにかあったとき。対応できないから」


 “なにかあったとき”


 その言葉に。

 観覧車の中はエアコンが微量かかっていて、けっして寒くはないのに。

 むしろ少し暑いくらいなのに。


 背筋が、ゾクリとした。


「わたし。そこまで気がまわらなくて。一緒に行く?……って声かけちゃった」


 そういうこと、これからは、したくないな。


「もっと。ヨシヒサくんに、寄り添ってあげられるといいな」

「名前で呼んでるんだ」

「……っ、うん」

「合わないよ」

「え?」

「アイツは、古都ちゃんには合わない」


 …………!?


「君を大切にできるのは。彼じゃない」


 マサオミ、くん?


「小さな頃からずっと。君が見てきたのは、誰?」


 ――――!


「君の傍で、君と同じ気持ちでいた男のこと。思い出してよ」
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