桝田くんは痛みを知らない
 ――――カワイソウ?


「彼は、生きていくだけでも大変なんだ。そんなカラダで恋愛を楽しめない。楽しめたとして。長くは続かない。そうなると、彼自身も苦しむ」


 ヨシヒサくんが。

 苦しむ?


「いっときの感情で流されていいものじゃないんだ」


 ……ちがう。


「いっときの感情じゃ、ないよ」

「でも、僕に抱きしめられてドキドキしたろ」


 ――――!!


「僕に、しておきなよ。僕なら桝田も納得する。だって君がずっと思ってきた男だから。安心してあずけてくれるさ。桝田は自分のカラダをもっと大切にすることができる」

「ヨシヒサくんが。ヨシヒサくんのカラダを?」

「わからないの? 君といると。君の生活に合わせると、それだけ桝田は辛いんだ。口には出してないだろうけどね」
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