桝田くんは痛みを知らない
 河川敷を、並んで歩く。


「コイツちゃんと躾けられてるな」

「そう?」

「吠えろって言ったら。ちゃんと吠えやがったぞ」

「それは、きっと信頼してるんだよ」

「信頼?」

「たしかにノブナガは愛嬌あるし、お利口だけど。嫌いな人の言うことはきかない。お手、おかわりくらいはしても。誰に言われても吠えるわけじゃないと思う」

「マジか。かわいいヤツめ」

「仲良くなるのはやいね」

「まあ。古都と俺も。はやかったよな?」


 …………!!


「時間なんてさ。関係ねえよ。ただし。これから積み上げていくもの次第で、クソみたいな関係になっちまうかもしれないけどな」

「うん」

「俺は。そんなことにはさせない」

「!」

「古都も同じ気持ちでいてもらわないと困る。2人で作ってかなきゃグラついたもんしかできないと、そう思わないか?」
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