桝田くんは痛みを知らない
 首からお化け屋敷の看板をさげて、校内を歩く。

 別にこれは当番でもなく自主的にやっていることで、宣伝しながら休憩をとれたらいいかなって。


「すみませーん。その男女ペア限定ホラーハウスって、どこにあるんですか」


 違う学校の制服を着た男女が近寄ってきた。


「まっすぐ歩いて、突き当りの階段のぼったとこです」

「ありがとうございます〜」


 笑顔でお礼を言う女の子に、

「行くの?」

 乗り気じゃない男の子。


「友達が参加賞にもらったバッジみせてくれたんだけど。可愛かったんだよね」

「ふーん。そんなのあるんだ」

「欲しいから付き合ってよ!」

「僕が?」

「仕方ないじゃん。ペアでなきゃ入れないんだもん」

「……わかった」
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