桝田くんは痛みを知らない
 マサオミくんに視線を向けると、こっちを見ていない。

 なんで来るんだよって思われてるよね。


 …………ごめんなさい。


「さあ。どうぞ」


 司会者に、マイクを渡されると

 会場にいる人の視線がわたしに集中していることに気がついた。


「ちなみにこの会場の様子は、中継されてまーす」


 …………!!


「小田高祭のSNSアカウントでリアル配信されてるので。この会場だけでなく学園祭全体を盛り上げちゃってね〜」


 たくさんの人が、わたしを、見ている。


「ところで首からさげてるそれ、なに?」

「あ、これは。うちのクラスのお化け屋敷なんですけど」

「宣伝しちゃう?」

「いいんですか?」

「いいよー」
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