桝田くんは痛みを知らない
 思わぬ呼び込みのチャンス到来。

 マイクをギュッと握り、息を吸い込むと、声を出した。


「東棟2階、突き当りにある男女ペア限定のホラーハウスです。参加賞で配布しているバッジが可愛いと好評なので。是非どなたでも足を運んでください!」


 わたしのPRのあと、


「ホラーハウスで青春しようぜ〜!!」


 司会者が盛り上げてくれたおかげで、会場から「え、行く行く」「どこ?」「東棟2階だって!」そんな声が聞こえてきた。


 これでお客さんは確実に増えるだろう。

 お化け役の男子も張り切ってくれるかな。


 なんてホッとしていると、


「それで、えっと。君。名前は?」


 インタビューが続行して焦る。


「和泉古都です」

「イズミちゃん。なんかないの? とっておきのハナシ」
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