桝田くんは痛みを知らない
 こんな人前で話すだけでも緊張するのに。


 告白なんて。

 心臓が、口から出てきそう。


 でも。

 このまま黙っていると、会場の雰囲気が盛り下がる。


 それじゃあマサオミくんにも迷惑が、かかる。

 高校最後の学園祭、なのに。


 どうしよう。

 どうしよう――……


「あんまり無理させないでくれる?」


 そう言ってわたしからマイクを奪ったのは


「この子。僕の、かわいい女の子なんだ」


 マサオミくんだった。
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