桝田くんは痛みを知らない
「好きだ」

「……うん」

「渡したくない」

「うん、」

「でも。幸せになって」

「なる。絶対に」

「最後に。いっかいだけ――キスさせて」


 そういって、マサオミくんが、わたしの頬にキスした。


「ここならセーフ?」

「なっ……」

「ほんとは口にしたいけど。我慢してあげる」

「…………」

「桝田に占ってもらおうか。僕たちの恋愛運」

「えっ!?」

「なーんて」


 クスリと笑うマサオミくんを見て。

 もう、大丈夫だと思った。


 いつもの優しいマサオミくんに。

 ううん、本当はちょっと腹黒いけど、やっぱり素敵なマサオミくんに。


 また、会うことができた。
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