桝田くんは痛みを知らない
わたしをそんな呼び方するのは――
「桝田義久!」
「……フルネームで呼ぶなよ」
「そっちこそ。根暗オンナって言うな」
「でも俺。オマエの名前、知らね」
それもそうだな。
「和泉古都」
「イズミ……コトって楽器の琴?」
「んーん。古い都」
なんとなくバカにされそうな気がしたら、
「綺麗だな」
意外な反応を、された。
綺麗な名前なんて言われたの初めてで、どう返していいかわからない。
「名前負け」
そう言ったあと、鼻で笑われた。
「…………うるさい」
「コトリ、って感じ」
「はあ?」
「コトじゃなくて。コトリ」
「なに勝手に『リ』付け加えてんの」
「『先輩、すきです。』」
…………!!
「それで女磨きするつもりかよ」
手に取ったまま棚に返していなかった漫画のタイトルを読み上げられた。
「ちがっ……これは。わたしのバイブルで」
「そんなん読んでるから色気ねえんだな、オマエ」
「ほっといてよ!」
わたしは、この漫画が大好きなんだから。
「桝田義久!」
「……フルネームで呼ぶなよ」
「そっちこそ。根暗オンナって言うな」
「でも俺。オマエの名前、知らね」
それもそうだな。
「和泉古都」
「イズミ……コトって楽器の琴?」
「んーん。古い都」
なんとなくバカにされそうな気がしたら、
「綺麗だな」
意外な反応を、された。
綺麗な名前なんて言われたの初めてで、どう返していいかわからない。
「名前負け」
そう言ったあと、鼻で笑われた。
「…………うるさい」
「コトリ、って感じ」
「はあ?」
「コトじゃなくて。コトリ」
「なに勝手に『リ』付け加えてんの」
「『先輩、すきです。』」
…………!!
「それで女磨きするつもりかよ」
手に取ったまま棚に返していなかった漫画のタイトルを読み上げられた。
「ちがっ……これは。わたしのバイブルで」
「そんなん読んでるから色気ねえんだな、オマエ」
「ほっといてよ!」
わたしは、この漫画が大好きなんだから。