桝田くんは痛みを知らない
「コトリの家は。貧乏なんだな」

「ふ、普通だし」


 そういう桝田くんは。

 もしかして、お金持ちなの……?


「他に必要なものって?」

「言わないよ、そんなの」

「マサオミ先輩って。生徒会長の、宗田雅臣?」


 ――――っ!!


「な……」

「その顔は。ビンゴか」


 バレてる……!


「ねえ、あれ。1年の桝田くんじゃない?」


 こっちを見て小声で話しているのは、同じ高校の先輩だ。


「ほんとだー。てか、女の子といる」

「珍しくない?」


 ダメだ。

 桝田くんといると、目立ちすぎる。


 それにこんな場所でマサオミくんの話なんてされたら、誰に聞かれてしまうか。


「来て!!」


 桝田くんの手首を掴み、本屋を出る。
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