桝田くんは痛みを知らない
 もちろん、いやだ。

 マサオミくんが女の子と親しげなのは。


 それでも。


 桝田くんにされたことが、わたしの中で、モヤモヤしていて。


 とんでもなく、衝撃的で。


 もはや、事件で。


 もう、どんな顔して桝田くんと話せばいいか、わからない。


 元々クラスも違えば雲の上の存在だ。

 この先、関わることなんてないかもしれないけど。


 このまま、あやふやにさせておくのは……、いやだ。


 かといって。


 どうしてキスをして。

 どうして謝ったのか、ということを。


 ハッキリさせたい気持ちがあるのに。

 …………知るのが、コワイ。


「たまにいるよー? 付き合ってもないし、ましてや彼氏いるのに、オトコにベタベタ触るオンナ」

「!」

「オトコは、結構そういう女が好きだったりするしねー。まあ。宗田先輩は、ボディタッチされて気持ちを傾かせたり勘違いするようなタイプじゃないと思うけど」
< 54 / 300 >

この作品をシェア

pagetop