桝田くんは痛みを知らない
 それじゃあ、マサオミくんと女の先輩は。

 ただの友達かもしれないってこと?


「なにより食堂で本人が言ってたじゃん。恋愛から離れてる、みたいなこと。だから、そのオンナが宗田先輩に気があったとしても。先輩の方に恋愛感情はないんじゃないかと、あたしは睨むね」


 そう言われると、そんな気がしてきた。


「わたし。思い込みで。……動揺しすぎた」

「仕方ないよ〜。その状況で平常心保てってほうが無理あるでしょ」

「ほんと?」

「うち、元カレが女友達と教室で話してただけで嫉妬した経験あるからね。好きだと気にしちゃうもんだよ、色々と」

「……うん」

「そっかそっか。目が腫れるまで泣いちゃうくらい好きなんだね、先輩のこと」


 ――――!


「あの桝田くんとのデート中でさえ宗田先輩で頭がいっぱいになってたなんて。さすが古都というか」


 …………ちがう。
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