桝田くんは痛みを知らない
「混んでるねー」


 昼休み。

 えみると、食堂にやってくる。


「食券買っとくからさ。古都は席探してきてくれない?」

「うん!」


 えみるにお金を渡し、座席の確保に向かう。

 食堂には上級生が多い。

 よって1年は肩身が狭かったりする。


「古都ちゃん」


 ――――この声は。


「ここ、空いてるよ」


 マサオミくん。

 わたしの、大好きなひと。


「……こ、こんにちは、会長!」

「そんなかしこまらなくても」


 クスッとはにかむマサオミくんの素敵な笑顔に、体温が急上昇する。


 あ〜〜、ここで会えるなんて。

 それも声かけてもらえるなんて。


 猛勉強してこの高校に入って本当によかった。


 マサオミくんは、男友達と2人でご飯を食べていた。


 いつ見てもカッコイイなあ。

 銀ぶちハーフリムのメガネが大人っぽいなあ。


「何人?」

「ふ、2人……です」

「じゃあ、2人分とっててあげるから。いってきなよ」

「ありがとう、ございます!」 
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