桝田くんは痛みを知らない
自分から歩み寄ることが、できない。
桝田くんはうつむきがちで、正面を向いていなくて。
だけどこっちに歩いてくるから、自然と、わたし達の距離が縮まっていく。
数秒後には視線がぶつかるかもしれない。
そう思ったとき、ドキドキしていることに気がついた。
だけど、そのドキドキは
「おはよー、桝田くん」
「学校休んでたけど、大丈夫?」
胸騒ぎに、変わる。
桝田くんの傍に、2人の女の子が駆け寄っていくと
「邪魔」
桝田くんの吐いた声は、あまりにも冷たくて。
目も合わせず、女の子たちを迷惑そうによけて通り過ぎる桝田くんは
まさに“氷の王子さま”で――
「……っ」
話しかけようって思っていたのに。
萎縮、してしまう。
桝田くんって。
…………こんなに、遠かった?
数秒後、
桝田くんとわたしの視線が絡み合ったとき。
桝田くんが口を開きかけたように見えたけど――
「……あ、」
桝田くんが、足を止めることは、なかった。
目線は、一瞬で、わたしから外れて。
桝田くんが、通りすぎていく。
桝田くんはうつむきがちで、正面を向いていなくて。
だけどこっちに歩いてくるから、自然と、わたし達の距離が縮まっていく。
数秒後には視線がぶつかるかもしれない。
そう思ったとき、ドキドキしていることに気がついた。
だけど、そのドキドキは
「おはよー、桝田くん」
「学校休んでたけど、大丈夫?」
胸騒ぎに、変わる。
桝田くんの傍に、2人の女の子が駆け寄っていくと
「邪魔」
桝田くんの吐いた声は、あまりにも冷たくて。
目も合わせず、女の子たちを迷惑そうによけて通り過ぎる桝田くんは
まさに“氷の王子さま”で――
「……っ」
話しかけようって思っていたのに。
萎縮、してしまう。
桝田くんって。
…………こんなに、遠かった?
数秒後、
桝田くんとわたしの視線が絡み合ったとき。
桝田くんが口を開きかけたように見えたけど――
「……あ、」
桝田くんが、足を止めることは、なかった。
目線は、一瞬で、わたしから外れて。
桝田くんが、通りすぎていく。