桝田くんは痛みを知らない
 マサオミくんと別れて教室に戻ると、うちのクラスはお化け屋敷をすると発表されていた。


「模擬店やりたかったなー」

「でも、劇とかバザーになるよりは。いいんじゃない?」

「お化け役の子に特殊メイクしようよ」


 お化け屋敷って。


 入るのは怖いけど、仕掛ける側なら、面白そうかも。


 ……A組は。

 桝田くんのクラスは、なに、やるのかな。


「おかえり、古都」


 声をかけてきたのは、えみるだ。


「話せた?」


 問いかけに、頭を横に振る。


「そっか」

「……嫌われた、かも」

「ええっ?」

「無視。されちゃった」


 というよりは。

 …………避けられた。


「わたしが。……逃げたせいだ」
 

 先に拒絶したのは、わたしの方だ。


「A組、行こ」

「え?」

「このままでいいなんて。思ってないよね?」

「…………うん」
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